マリゴルドⅢさん、ヨミジ丁−二式さん。
あなたは「死ぬのはいつも他人ばかり」というマルセル・デュシャンの言葉を口にしていたことがありましたが、そしてあなたの死は、私にとってもとより他人の死であるしかないわけですが、思いがけないほどの喪失感で──あなたと一緒に、自分の中の一部が欠け落ちてしまったような寂しさの中にいます。
マリゴルドさん。
あなたとはデュエルマスターズの同級生でした。
一年の時、あなたが声をかけてくれて、知り合いました。それからは、ほとんどあなたとの思い出しかないようにさえ思います。
手紙をよく書き合いました。逢っているのに書いたのでした。さんざん回して、疲れて自分の家に帰ると、また回したくなり、ミッツァイルの高い頃だったので、せっせと緑単で回し、週末逢うと、GR召喚をしてから闘い始めるというようなこともしました。
それからヨミジさんと出会い、忙しくなり、逢うことは間遠になりました。
去年の暮頃からだったでしょうか、あなたたちは急に何度も電話をくれ、しきりに逢いたいといいました。そしてある夕方、約束の時間に私の家にほど近い駅の階段を降りてきました。
同じ電車を降りた人々がすっかりいなくなってから、あなたたちは、実にゆっくり手すりにつかまって現れました。ようやく改札口を出て、「もう長くないんだ」といいました。あなたたちはよくそういった冗談を言うものですから「また始まった」と笑って応じましたが、そのときは冗談にならないものが残っていました。
その晩は、どの時をとっても、哀惜とでも言うような感情が底流に流れるような夜でした。
あなたたちは私のメインデッキを見せろ、といい、どのカードもどのカードも丁寧にたどって、エロいカードを見つけると「エロいねぇ」と声を高め、焦土と開拓の天変を試したか? ヴェールバビロニアはどうだと、あの頃に逆行してしまったような時間を過ごしました。
それから続けて二度逢い、最後は深夜、マナから単騎マグナム、墓地からラフルルをそれぞれ出して、私を送ってくれたのでした。それから一週間経たないうちに、あなたは倒れてしまいました。終わりの六カ月に、再び濃密な思い出を残して。
十九の頃の「GP9th」から始まり、あなたの能力には、幾度も驚かされ、感動しましたが、私には、あなたたちは何より、姿であり声であり、筆跡でありました。それらは、かけがえのない魅力を持っていて、今はただ、とめどようもなく燃え尽きてしまった輝きを惜しんで、うずくまるばかりです。ほんとうに、温泉というものがあるのなら、再開して、狭い片隅で、時間を気にしないで、コンボの話を、心ゆくまでしたいものだと切望しています。せめて、そんな時の来るのを、あてにして。
じゃ、また──といわせて下さい。