生命と大地と轟破の決断君。
ここに君とも、まことに君とも、生と死とに別れるときに逢った。君を敬慕し哀惜する人々は、君のなきがらを前にして、僕にデッキを作れと言う。君の情愛の声が僕の骨に沁みる。生まれてこのかた一入木枯にさらされる僕の骨は、君という支えさえ奪われて、寒天に砕けるようである。
その年月、君は常に僕の心の無二の友人であったばかりでなく、マリゴルドⅢさんと共に僕の二人の恩人であった。恩人としての顔を君は見せたためしは無かったが、喜びにつけ悲しみにつけ、君の徳が僕を霑すのをひそかに僕は感じた。
僕は君を愛戴する人々の心にとまり、後の人々も君の能力につれて僕を伝えてくれることは最早疑いなく、僕は君と生きた縁を幸とする。
生きている僕は所詮君の死をまことには知りがたいが、君の能力は永く生き、それに随って僕の亡びぬ時もやがて来るであろうか。
ただもう知友の愛の集まりを柩とした君の霊に、雨過ぎて洗える如き山の姿を祈って、僕の弔辞とするほかはないであろうか。
生命と大地と轟破の決断君。
僕は日本の山河を魂として君の後を生きてゆく。